『オプティミストはなぜ成功するか』 マーティン・セリグマン 【一般書籍レビュー】 楽観主義はうつ病を防ぎ、悲観主義はうつ病を招く
kindle unlimmitedにて、2017年8月初旬に読了
この本の内容を2行で要約してみる。
楽観主義者(オプティミスト)は成功しやすい
悲観主義者(ペシミスト)は鬱になりやすい
以上である。
心理学者である筆者はこれを、長年の研究から導き出したという。
……
……当たり前じゃね?
気を取り直して、いくつか本書の内容をピックアップしてみよう。
不運に見舞われた時の、悲観主義者と楽観主義者の対比
悲観主義者
ペシミストの特徴は、悪いことは長く続き、自分は何をやってもうまくいかないだろうし、それは自分が悪いからだと思い込むことだ。
悲観主義現象の核にあるのは無力である。無力とは、自分がどんな選択をしようと、これから起こることに影響を与えることはないという状態だ。
不幸は自分の責任であり、永続的で、運が悪いから自分は何をしてもうまくいかない、と常に信じている人は、そう思っていない人よりもさらに不運に見舞われることが多い。
ようするに、自分は不幸だと思っている人は、更に不幸になりやすいという主張だ。
楽観主義者
オプティミストは同じような不運に見舞われても、正反対の見方をする。
敗北は一時的なもので、その原因もこの場合だけだと考える。
そして挫折は自分のせいではなく、そのときの状況とか、不運とか、ほかの人々によるものだと信じる。
「まあなんとかなるんじゃね?」って思っている人は、少なくともその人にとってはなんとかなってしまう事が多い、ということだ。
本書の後半には、下手するとおバカに見える楽観主義について、それは気楽に何も考えないということではなく、モノゴトを否定的に見ないことだという記述がある。
そうした楽観主義は、殆どの場合、辛い時の支えになってくれるという。
つまり 楽観主義 vs. 悲観主義 とは
いわば「まあなんとかなるっしょ!」 対 「もうダメだ……死のう」
の戦いである。
いや戦いにすらなっていない。
楽観主義者の勝ちはどう考えても揺るがない。
……これも当たり前ですよね?
うつ病について
一言で言えば、「うつ病ヤバイ」。
筆者は、うつ病は自殺という形でエイズと同じくらい多くの命を奪い、エイズよりも広く蔓延しているという。
「躁うつ病」と診断された場合には、医学的な治療が必須である。
だが「軽いうつ病」の場合は?
ここでも悲観主義と楽観主義は対立する。
「私は愛なしでは生きていけない」 「なんでも完璧にできなければ失敗だ」 「誰もが私を好いてくれなければ、私はだめな人間だ」 「どんな問題にも完璧な解決法があるはずだから、それを見つけなければならない」
Vs.
「愛は貴重だけれど、めったに得られないものだ」 「ベストをつくすことが成功である」 「味方の数だけ敵もいる」 「人生では臨機応変に大まかにやることも必要だ」
どちらの考えが「軽いうつ病」を誘発するか、言うまでもないだろう。
つまり、「軽いうつ病は考え方次第」という主張だ。
だがしかし、本当にそうなのだろうか。
考え方次第でどうにかなる「うつ病」なんて、実は「うつ病」じゃないのではないだろうか。
そしてこの点を突き詰めていくと、軽いうつ病と本当のうつ病の境目はどこ?という話にならないだろうか。
いや、それを安易に判断することそのものが危険なのではないか。
かといって専門医が信頼できるかというと、これも確信を持って言えないと僕は思う。
ちょっと暴論だが「うつ病の専門医なんて、言ったもん勝ちじゃね?」という疑念を完璧に拭い去るのは不可能だとすら僕は考えている。
参考までに、本書では「重いうつ病」の診断基準についても以下のように述べられている。
現在重いうつ病にかかっていると診断するには、次の九つの症状のうち五つ以上がなければならない。
1 気分がふさいでいる
2 普段やっている活動に興味がなくなる
3 食欲がなくなる
4 不眠症
5 精神運動性の遅延:思考や行動が遅くなる
6 活力を失う
7 自分は価値のない人間で、すべて自分が悪いのだと思う
8 思考力が減退し、集中できなくなる
9 自殺を考えるか、試みる
さて、みなさんはどうでしょうか?
本書では何が何でも全て楽観主義でいくべき、と言っているわけではない。
楽観主義で行くべきかどうかのガイドラインとしては、その状況で失敗した場合どうなるかを考えることだ。
もし失敗が高くつくようであれば、楽観主義は勧められない。
悲観主義には「物事に慎重に対処できる」という美点があるのである。
世の中には「絶対に慎重に対処すべき」事柄がある。
そこでの楽観主義は時として自殺行為に成りかねない。
もし失敗しても大した被害はない場合は、楽観主義で行くべきだ。
楽観主義で行くべき時に悲観主義に陥っている場合の対処法
そう、これが大事なのである。
筆者はそうした場合の対処として2つ挙げている。
1 気をそらすこと――何か別のことを考えること
このようにある一つのものに神経を集中すると、関心を移行させることができるという。
例えば、立ち上がっててのひらを壁に打ちつけて「ストップ!」と叫んでみるなど。
2 その考え方に自分で反論すること
「ああ、もうダメだ!、だって○○なんだもん!」
というときに、その○○に対して
●証拠はあるか?
●別の考え方はできるか?
●思い込みが本当だった場合、それはどんな意味を持つか?
●その考え方は有効か?
というように、自分で自分にどんどん疑問をぶつけていけばいいというでのある。
しかし僕などは、モノゴトに悲観的になっている時にそんなことができるのならば、問題はそもそも大したことじゃないのでは、などと思わずにはいられないのだが。
あ、なんかスゴイ悲観的ですね、僕(笑)
結論:殆どの場合、楽観>>>悲観
ウジウジいろいろ考えてると、うつになっちゃうゼ!?
意外とうまくいっちゃうかもだから、とにかく気楽に行こうヨ!
ということである。
……
……うーん、やっぱりどう考えても当たり前じゃね?
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