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うつを抜けられた人達の良質ドキュメンタリーマンガ 「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」 田中 圭一 【マンガレビュー】

2017年10月7日

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち 【電子書籍限定 フルカラーバージョン】 (角川書店単行本)

 

著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!(フルカラーバージョン)

Amazon商品紹介ページより

 

 

田中圭一さんといえば、お下品な手塚治虫パロかつサラリーマン兼業マンガ家として有名な方。

僕なんかはデビュー作の「ドクター秩父山」のイメージが強くて、ずっと不条理エロ4コマ作家だと思ってました。
デビュー後には遺族黙認の手塚パロで活躍されていたのは知ってましたが作風そのものはちょっと僕には合わず、あまり作品チェックはしていませんでした。

ですから当然「うつ」を患っていたのも知らなくて、この作品をセールで見かけて衝動買い、作者自身が元患者だったことを知り、驚いたものです。

 

うつ病患者が10人いれば10人の物語がある。

このマンガはそんなアタリマエのことを改めて思い起こさせてくれる、上質なドキュメンタリとなっています。

ではどんな人達のどんな体験が語られているか、例によっていくつか抜粋していきましょう。

 

 

田中圭一(本人)

サラリーマン兼業マンガ家としての激務の日々がいつの間にか「自分が嫌いになっていた」ことでうつが発症。
長い苦痛の日々の中で「自分を好きになること」で脱出。

 

ゲームクリエイター 照美八角(仮名)

「自己実現」に挫折して「死に場所を探す旅」へ。
温泉でのんびりしているうちに「頑張っていた自分」を見てくれていた人と出会うことで脱出。

 

雑誌編集者 折晴子(仮名)

両親の離婚の時に「状況が行き詰まったら自分を引き算する」という癖を身に着けてしまう。
でもその御蔭で一度仕事から逃げ出せたことで脱出。

 

ミュージシャン 大槻ケンヂ

若くして筋肉少女帯がヒットして、うまく行き過ぎたと感じたことにより発症。
「心療内科」と「森田療法」に出会ったことにより脱出。

 

編集者 深見昇(仮名)

仕事上の大成功が自分の実力とは思えずに発症。
鬱ではなく双極性障害だったと診断した医師への信頼を回復することで脱出。

 

AV監督 代々木忠

過去の壮絶な体験から発症。
同様に過去のつらい経験から多重人格者となってしまったAV女優達との関わりがきっかけとなって脱出。

 

小説家 宮内悠介

兼業作家だったため仕事を頑張りすぎて発症。
疎遠となっていた母親に頼ったことをきっかけに脱出。

 

他にメンタルクリニック医師というよりは漫画原作者として有名なゆうきゆう氏のうつ病に対する見解や、プロの外資系OLという謎の肩書を持つずんずん氏の社畜体質の話など、非常に興味深い話が並んでいます。

 

 

僕自身、もしかしたらうつ病の一歩手前だったかもしれないという状況まで追い込まれた経験がある。

いや社会人ならみんなあるかもしれませんね。

でも自分がそういう状態に近づくと、自分だけが辛い状況なんだという思い込みが発生し、それがまた自分を追い込んでいくということが本当にあるのです。

僕の場合はいよいよ追い込まれた気分になって「こんな仕事無理なんで辞めます!」と叫んだら予想外に遺留されたことで少し気が晴れて、今こんな駄文を書き散らしている、というわけです。
(まあ遺留は社交辞令だったかもしれないけど。笑)

 

人間、何がきっかけでうつになるかわからない。

でも何がきっかけで脱出できるのかもわからない。

うつという心の病が予防できるかどうかもわからないが、いろいろな知識、特に他人の経験談は頭に入れておいたほうがいいと思います。

本書はまさにそのためにあるのです。