ぜんぜんエロくないグルメマンガ 「めしにしましょう」 第1巻 小林銅蟲 【マンガレビュー】
2017/5/27に購入。
この物語は、「累」のチーフアシスタントでもある小林銅蟲がおくる、限りなくノンフィクションに近いフィクション漫画である! 一切れがスマホ並みの分厚さの超級カツ丼や、風呂場を使って低温調理したローストビーフなど、とにかく“やり過ぎた”料理が満載!! 知られざる漫画制作の裏話も垣間見えて、「累」ファンにとっても必読の書ですよ!
「累」といえば僕も1巻だけ持ってますが、かなりシリアスでハードな物語性を持つマンガ。
そのマンガの制作の裏側で、こんな面白すぎる出来事が日々生じてるなんて驚きです。
とにかく漫画を書く人と言うのは変人が多いという偏見を僕は持っていますが、あながちそれは偏見でもない模様。
そしてどうやらそれは、連載作家であれ、チーフアシスタントであれ、変な人であることに変わりはないようです。
とはいうもののこのチーフアシの人は、変わってるにも程がある。
女性漫画家の作業場において、メシを作る人の重要度は男性作家のそれよりも高いと聞いたことがあるけど、もはやこのアシさんはアシさんというよりもメシさんである。
そう、チーフメシスタントである。
まずこの方には遠慮という文字がない。
メシ代は先生から経費として支給されているようだが、あまり予算という観念が無いような雰囲気。いや、明確に無いな(笑)
それにお金以外でも、使えるものはなんでも使う。
風呂も使う。
いやむしろ風呂はメイン調理器具。
60度に保たれたお風呂のお湯の中に牛モモ肉のブロックを3時間漬け込めば、ローストビーフの元が完成。
もちろん豚ブロックも圧力鍋もびっくりというほど柔らかく、そして旨味を全く逃さず仕上げられるという。
ただしその他のマニアックな調理器具は自前。
マンガを書く道具は先生のものを拝借するが、マッシャーもハンドミキサーもメス(ハモの小骨を取る用)も持参します。
そして先生はメシさんがメシを作る様子を温かい目で見守ります。
というか、編集者さんの電話を無視しながら、アシさんが料理するところをひたすら見つめます。
その姿はまるで締め切りという現実から目をそらすマンガ家さんのようです。
ってそのままです。
その瞳は肉のアクをとる姿にすらじっと射抜くような視線を浴びせます。
でもスッポンの解体場面には少しだけ目をそらします。
これがきっと作品に生かされているのでしょう。
少なくともこの後の48時間耐久マンガ描きのための体力の元にはなっている模様。
ただしこの有能?アシさんにはヤバイ弱点があります。
それは作中で一度エアコンが壊れたため下着姿で料理する場面があるのですが、これがもうがっかりするほど色気がない。
もうちょっとなんとかならんかと思うほどそそられない。
このあたり、「可愛い女の子がエロい表情でなんか食べる系グルメマンガ」とは一線を画すところです。
いやでももうちょっとなんとかならんか……
ということでシチュ的にもキャラ的にもかなりユニークなこの半ドキュメンタリーグルメマンガ。
実際に作ってみようと思えるようなメニューはあまりないけど、ギャグマンガとしてもとても面白いので、ぜひ一度読んでみてください。
でもほんと、マジで色気は無い。
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