まず「BLAME!」と言ったら、僕が好きすぎて記事がどうにも書けないという弐瓶勉さんのSFマンガの金字塔。
果てしなく巨大な階層都市の中を、探索者の霧亥(キリイ)は何千フロアも放浪する。求めるものは「感染前」の「ネット端末遺伝子」。手にするものは全てを貫通する最強の銃「重力子放射線射出装置」。
その世界観である「果てしなく広大で人工的な、ほとんど人間の姿の見えない廃墟と化しつつある都市空間」の中を、女の子二人がテッケンクラートという無限軌道付きのバイクで旅をする、というお話である。
なおここで「BLAME!」を引き合いに出しているのは僕の勝手な趣味であり、作者のつくみずさんがパクってるとかそういう話ではないので誤解なきよう。
(そもそも「BLAME!」自体も有名SFのリスペクトが散りばめられておりうんぬんかんぬん4万字くらい略)
終末世界でふたりぼっちになってしまったチトとユーリは、愛車のケッテンクラートに乗って延々と広がる廃墟をあてもなくさまよう。日々の食事さえも事欠く、明日の見えない毎日。だけどそんな「日常」も、ふたり一緒だと、どこか楽しげだったりもして……。
こちらのお話の場合、主人公は割りと普通の女の子二人
不死身でもないし、網膜に文字情報が流れるわけでもないし、臨界不測兵器こと重力子放射線射出装置も持っていない(普通の銃は持ってるが)。
もちろん普通にお腹も減る。
だから食料探しが最大優先事項である。
いつの場合だって、食料探しがサバイバルの基本なのだ。
でも旅しているのがどういうわけか知らないけど滅びゆく巨大な都市世界だ。
この世界観の描写がとても素晴らしい。
無機質なようでどこか柔らかく、無慈悲なようで意外にもほんの少しだけ優しい世界。
生き延びられただけでも運がいいというような毎日。
生き残っているのは極僅かな人間だけではない。
危険な生物やまだ稼働する兵器もまたそのまま放置されている。
だが二人の旅に危機感はない。
どうなるかは所詮は運次第
その運を手繰り寄せるために必死にもがきはするが、人間にはどうしようもないことがこの世界には多すぎた。
だから人間は滅びたのだろうか。
……本当に人間は滅びたのか。
どこかにたくさん生き残っていて、そこでまた村や町や国を作っていろいろ揉めたりしているのではないだろうか。
いやそれすらどうでもいい。
知りたいのは、この世界の先には何があるのか。
それとも何もないのか。
その先が見たい二人は今日も旅をする。
生きる、とは旅をすること。
僕もぜひご一緒したいけど、さて?
(この世界ならまあ3日、BLAME!世界ならば一瞬でぶっ殺されるでしょう。笑)
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