登山ヤバイ度:★★★★★
登山とか僕は絶対にしないけど、登山マンガは好きなんです。
物語というものの良いところの一つに、自分ではできない(しない)ことを疑似体験できるという点があると思います。
僕の場合で言うと、登山とゴルフがそれにあたります。
おっとグルメ漫画もある意味そうかも。
美味しいものは好きだけど、自分で作ったりわざわざ遠くまで出かけてしかも並んで食べたりまではしないもんなあ。
こちらはベテラン村上もとかによる、登山マンガ短編集。
第6回(1982年度)講談社漫画賞少年部門受賞作品。
どの話もハードな人間ドラマ、というか山と人間の激闘が、村上氏の精緻な筆致で見事に描かれている。
当然のことながら、山の描写が素晴らしい。
寒そう。高すぎ。チビリそう。
こちらの記事でも書いたけど、こんなとこ行くやつやっぱ○カだろ……。
それでは各話についていろいろ書いてみよう。
「南西壁」
舞台はエベレスト南西壁。
国際登山隊は、度重なる不運により、二人以外全滅。そんな彼らもほぼ死にかけていた。
だが彼らはテントの中で死ぬのも、山頂に背を向けて降りながら死ぬのもどちらも拒否。
どうせ死ぬならと、山頂を目指す。
ワンピで言うところの剣士の背中に逃げ傷無し!、みたいなものだろうか。
いややっぱりにっちもさっちもいかなくなる前に、生きる算段しとけや!、特に隊長!!、とか言いたくなった。
「裸足の壁」
相思相愛の幼名馴染みが、貧乏故に金持ちのところに嫁に行くという。
少年は男になるべく、誰も登ったことのない「勇者の壁」に挑む。
つまりラブコメである。
いや、コメの部分がなかった。
ラスト、少年は(性的じゃない意味で)男になれるのか?
「プチドリュ針峰 北壁と西壁」
「PART1.遭難」「PART2.時よ止まれ」
北壁未踏ルートにドイツの有名クライマー一家ユンゲン親子が挑んだ。
だが長男は滑落して死亡すし、遺体は北壁半ばで凍り付いた。
長男の遺体を回収するため、8年後、屈指のクライマーに成長した次男をパートナーとして、再びユンゲン親子は北壁に挑む。
僕も子を持つ親なので、万が一子供の遺体が山の途中に引っかかっているなど言うことがあったら、降ろしてあげたいとは思う。
でも自分はともかく、もう一人の子供の命を危険に晒してまでとは思わない。
このあたりの感覚は、有名クライマー一家とかになると違ってくるのだろうか。
「遠い頂」
夫婦でエベレストに取り憑かれた二人の話。
二人はそれこそ死にものぐるいで登頂を目指す。
死にものぐるい、から「死に」という言葉を削除するのがふさわしい話だった。
「ザイル」
これも親子二代で「死にものぐるい」-「死に」な話。
父親達を奪ったグランド・ジョラスに挑むその息子たち。
山とは人が死ぬ場所なのか。
いや違う!
苦難の末に二人が得た結論とは。
ここで「最初から登らなければいいと思います」などという身もふたもないことを言ってみるテスツ。
「ヒマラヤの虎」
虎だ、虎だ、お前は虎になるのだッ(違
「吹雪」
やっぱちっちゃい子供がいるパパとかママは冬山登山とかしちゃアカンよ……。
「K2」
「PART1.最終キャンプ」「PART2.北西稜の5人」
死んでも退かない気でやってきたエゴイストな山男たちが、退かなかったので死ぬ話。
結論。やっぱり登山はマンガだけにしておきましょう。
売り上げランキング: 30,019
コメント